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新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。組織の内部を描くという点で、物凄い洞察力を持った作家だ。 ――亀山郁夫コロナがこうなる前に書かれているというのに凄みを感じる。 ――安藤礼二まったく、なんだってあんな根拠のないものにそうすぐ振り回されてしまうのだろう。それとも本当に、ただ自分のあずかり知らぬところで未知の病気が広まりつつあるのではないか、とも考えてみたが、やはり実感は湧かない。家々から漏れる灯りがそこここに生活が在ることを教えてくれる。言い知れぬ不安が、影のように自分のあとを追ってきている気がした。 ――本書より
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