戦端 武商繚乱記(一)

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あらすじ

大坂・東町奉行所の同心、山中小鹿(やまなか・ころく)は、上役の筆頭与力・和田山の娘をわけがあることを承知で娶ったにもかかわらず、裏切られてしまう。妻の不貞を許せなかった小鹿は、義父の和田山に妻を公然と突っ返すという方法に及ぶ。これが原因で、東町奉行所内では、同僚たちからも距離を置かれて居心地がよくない日々を過ごしていた。鬱憤をはらそうと大坂の遊郭に足を向けたものの、なぜか客引きをされない。理由は、大商家が「総揚げ」すべての見世を貸し切っていたからだ。その商家の名は、淀屋。西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送、売る権利を持ち、莫大な富を得ていた。淀屋に借金をする大名もあらわれ、参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をするほどの力関係に至る。幕府も忸怩たる思いで、ついに時の老中首座・土屋相模守が手を打つことに。一介の同心・小鹿は、商魂たくましい上方の豪商と武士の沽券をかけた争乱に巻き込まれていく。吉川英治文庫賞受賞作家が送る新機軸の書下ろし時代小説、堂々開幕!

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