聖女陥落
購入済み
シリーズ
全1冊
作品情報
このひとの喉元に蜂蜜を垂らし、舌先で舐めてみたい……今すぐ。「きみの土曜日の夜の習慣を教えてくれ。不道徳な習慣を」「毎週土曜日の夜、マスターベーションするわ」目を伏せて答えると、マルコが、目を細めてわたしをじっと見つめる。脚の間がしっとりと濡れるのを感じる。立ち上がって、黒いレースのショーツをおろし、わたしが脚を広げて見せると、マルコのうめき声がする。マルコは、コーヒーテーブルを脇へ押しやり、わたしの両脚を肩にかけ、手を押しのけると、舌をリズミカルに動かして花の蕾を舐めたり吸ったりしながら、皿の上にあったピクルスに手を伸ばし、わたしの奥深くへ挿入し始めた。手からこぼれ落ちたラベンダー色の革製ノートパッド――わたしの成功の象徴――が転がっていき、彼の屋敷のプールの底へ沈んでいく……。昨夜のパーティで、謎めいたハンサムな大富豪マルコが、官能的な笑みを浮かべながら声をかけてきたのだ。“一晩だけ、僕のいいなりになれば、きみにぼくの屋敷をあげよう”と――でも、よく知らない彼に何をされるというの? もしも四肢を縛られて、鞭や鎖が出てきたら――そのときのわたしは頭がおかしくなっていたに違いない。いままで無難に生きてきたわたしなのに、知らぬ間に頷いていたのだ。完全にプールの底に沈んでいる、ノートパッド。あれはわたし? 危険に飛び込んだあげく、永遠に使い物にならなくなってしまった……わたし――
- 著者
- 出版社 ハーパーコリンズ・ジャパン
- ジャンル
- レーベル エロティカ・アモーレ
- シリーズ 聖女陥落
- 電子版配信開始日 2024/01/12
- ファイルサイズ 0.70 MB