孤鷹の天 下〈新装版〉

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全2冊
作品情報
国を憂い、理想に殉じた若者たちの眩しくも激しい生きざま。直木賞作家・澤田瞳子のデビュー作にて中山義秀文学賞受賞作、奈良青春大河ロマン完結篇。古代史ものの復興の切っ掛けを作ったのは、間違いなく本書『孤鷹の天』である。――文芸評論家・末國善己氏(解説より)仏教推進派の阿倍上皇派と儒教推進派の大炊帝派の対立は激化し、ついに恵美押勝こと藤原仲麻呂が挙兵するも敗北。斐麻呂が慕う桑原雄依は、仏教派に寝返った高丘比良麻呂暗殺を企てるが失敗し斬刑となる。大学寮は閉寮となり斐麻呂は出奔。奴から紀朝臣姓を賜り良戸となった赤土との距離は離れていく。弓の名手である佐伯上信は、義に殉じた無二の親友・雄依の志を胸に、淡路へ流された大炊帝を奉じ戦いに臨む。大学寮の学生たちの生命を賭した「義」はどこへ向かうのか。【主な登場人物】高向斐麻呂(たかむくのいまろ)藤原北家・藤原清河家に仕える少年。清河の娘・広子のために十四歳で大学寮に入る藤原広子(ふじわらのひろこ)遣唐使として唐に渡った藤原清河の一人娘。気が強く、自分の思いを貫く少女赤土(あかつち)紀寺の奴婢(奴隷)。自らを良戸(良民)と公言し直訴、後に紀朝臣益麻呂の名を賜る佐伯上信(さえきのうわしな)大学寮の学生。左馬寮の飼丁の息子。勉学より弓術に心が傾く桑原雄依(くわはらのおより)上信の親友。日向国出身。任官試験を受けずに大学寮に入り直した好学の徒恵美押勝(えみのおしかつ)清河の従兄。宮廷の権勢を掌握する実力者。学問奨励に力を尽くす。阿倍上皇と対立阿倍上皇(あべじょうこう)当代一の崇仏者として知られ、弓削道鏡を寵愛。儒教を重んじる押勝と次第に敵対する