黒の弔い
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作品情報
弟の幸次郎が死んだ。急死だったし、変死だった。拳銃を握ったまま死んでいたと、弟と暮らしていた清美から報された。 何もせずに時間が過ぎていくのを待つという方法もあったが、おれはそうはしなかった。そんなことはできなかった。 なぜなら、弟は殺されたからだ。しかも、誰が殺したのかがわからない。警察は自殺とみているようだったが、弟をよく知るおれには信じられなかった。 弟を弔うには、殺した者を探し出し、それ相応の仕打ちをすることだ。おれは、動く。 悲憤を抱えた男の本気が、大きな山を動かした——。