「利他」の文明をめざして

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2001年、稲盛和夫は2025年の日本を憂えていた。なぜ、日本は豊かになったのに、私たちは将来への不安を拭えないのか。経済成長を追い求め続けた先に、私たちはどこへ向かうのか。そして、これからの日本と世界に必要なものとは何なのか——。京セラ、KDDIを創業し、日本航空(JAL)の再建を成し遂げた稀代の経営者・稲盛和夫。経営哲学の大家として知られる一方、そのまなざしは企業経営をはるかに超え、日本という国家、産業、そして人類文明の未来へと向けられていました。本書は、2000年から2014年にかけて行われた講演や雑誌への寄稿から、稲盛が「国家」「産業」「経営」「人間」「文明」について語った論考を精選し、旧盛和塾生限定の記念品として配布された社会評論集です。要望の声に応え、このたびより多くの方にお読みいただけるよう、市販が実現しました。なかでも注目すべきは、2001年に語られた「四十年周期」で見る日本の近代史です。明治維新から約40年後の日露戦争、そこから約40年後の敗戦、さらに40年後の1985年、日本は経済的繁栄の頂点へ——。その歴史を振り返った稲盛は、1985年からさらに40年後となる「2025年」の日本を見据え、経済成長だけを追い求める国のあり方に警鐘を鳴らしていました。その問いは国家だけにとどまりません。企業は何のために存在するのか、真のリーダーに必要なのは、才覚か、それとも人格か。豊かになることは、本当に幸福につながるのか。資源に限りがある地球の上で、人類はどのような文明を築くべきなのか。稲盛がその答えとして繰り返し説くのが、「足るを知る」こと、そして「利他の心」です。自分だけ、自社だけ、自国だけの利益を追うのではなく、相手を思いやり、社会全体の幸福を考える。その思想は単なる精神論ではありません。稲盛自身が企業経営や日本航空の再建で実践し、結果を残してきた哲学でもあります。欲望を原動力として発展してきた文明から、他者とともに生きる「利他」の文明へ。私たちは、これからどんな社会をつくり、どう生きていくのか。未来への羅針盤となる、稲盛和夫の社会提言を集成した一冊です。

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