王都に忘却の女神レテの神殿が建てられる。その巫女として忙しくも充実した日々を送るエレーニだったが、ある日、サナシスから兄の話相手になってほしいと頼まれる。サナシスの兄であるヘリオスは、不治の病に侵されて余命いくばくもないという。神を信じず、他人を寄せ付けないヘリオスを、サナシスは不憫に思っていた。修道院で死にゆく人を看取った経験のあるエレーニなら、兄の話相手になれるのではないかと考えたのだ。サナシスの頼みを受け、ひねくれ者のヘリオスと話をするうちに、少しずつ心を通わせていくエレーニ。彼のために祈るエレーニに、女神ステュクスから意外な真実が告げられて――。