戦争×書物
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作品情報
戦争と書物の関係とは何だろうか。まず思いつくのは指導者を礼賛し戦意を鼓舞する書籍だ。しかし、近代の戦争ではそれ以外の役割もあった。第一次世界大戦では攻めていくにも地理がわからない。そこで古い観光ガイドを探す羽目になる。しかし侵攻していく地域が平地なのか沼地なのかさえわからない。戦闘も毎日起きるわけではなく、兵士も娯楽が欲しいし故国の様子も知りたいので、雑誌や本が必要になる。これは捕虜についても同様で収容所には図書館もあった。また攻めるに当たっては占領した国を徹底的に破壊するため図書館を破壊したり蔵書(稀覯本など)を盗んだりもした。さらに敗戦国の思想を浄化するために、その国の本を廃棄したり書き換えたりする必要もあった。 戦争によって盗まれた美術品については、その重要な価値ゆえ多くの物語が書かれてきた。しかし、書籍についてはどうだろうか。20世紀以降、数々の戦争によって図書館やその蔵書が焼かれ盗まれてきた。しかし戦後それらの返還や補償は行われていない。ベルリン、ワルシャワ、ミンスク、ミュンヘン、カッセル......これらの都市の図書館は、初期の活字本、楽譜、手稿本などを所蔵していたが、二度と同じ姿を取り戻すことはない。アメリカとロシアの図書館に置いてある本は、必ずしも同等ではないだろう。たとえ自然科学でもだ。その理由は国家の思想的背景によるものだ。では日本の図書館はどういった基準で本を選んでいるのだろうか。これらの世界史的な観点から、なぜ図書館が必要とされ、どう都合よく利用されてきたかを考えると、本というものが、自由に手に入るものだと思わされてきたのかもしれない。本書からは歴史を通じて本がどのように扱われてきたのか、その意図は何だったのかが読み取れる。