夏の奥津城

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あらすじ

……会津地方の或る旧家の壊滅……たまたま地方の一旧家に生れて、年ふるままに人となり、しまいには天の定め、その命を召しあげ、遺された者ら、只ひたぶるに祈る。さて、祈る者びとも、かわるがわる、とき到りて同じ定めに就き、今度は逆に祈られる。一人また一人と、生れては死ぬ。死ぬとわかっていながら、生れてみれば嬉しいことも、辛いこともあろう。それもこれもが、いずれ等しく、ひとときの光芒放つ間もはかなく、果ては闇に消えゆくものの。かつてさんざめいた日々の生活、古い家屋敷、周囲をとり巻く山に川に、野に畑に、昔の俤すでに無く、ただ言葉だけがむなしく宙へ舞う。祈るべし、命あるかぎり祈るべし。神々の、この世に在りし証を温めながら祈る。【目次】【第1部・夏の奥津城】(序)兄弟/籠る日々/雷( いかづち) /病を得て/大寒の朝/奥津城/渦/天壌無窮/ 招魂/神々の集い/(跋)祈り【第2部・譚草拾遺】 愚神祭/蘇生/独身/ジェイムズ・ジョイスへの旅路/イタリア叙事喜劇

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