鴎外を考える
![鴎外を考える](https://mw-cds.akamaized.net/MW-Product/551/518/0aa1b7f77001ab0e9353623763321860372a9b2c7f7e7125183e0f8bb76efdf3/RS4A/thumbnail/cover.jpg?ivm=true)
購入済み
シリーズ
全1冊
作品情報
ヤヌスとしての鷗外 高雅に潜む冷笑、傍観主義を標榜…。元老山県に密着し漱石と確執、幸徳事件へ執心―― 没後百年、近代の陰影を刻む文学の深奥に迫る。 わたしは「大逆事件」ではなく幸徳事件と使う。宮武外骨がいみじくも喝破したように、それを使った瞬間に権力の術中に陥るプロパガンダ表現だからだ。言い換えではない。最初から不当に言い換えられていた。この点、鷗外は数点の事件に直接関連する作品を含め、この語を使わなかった。事件経過に沈黙を通したということもあるが、考証学者としての筋目があったとわたしは考える。(本書「まえがき」」より)