富生が故郷の館山を離れ上京してから20年以上が経った。母が亡くなってからほとんど帰省することがなくなった実家には、78歳の父が一人で暮らしている。その父の様子が最近おかしい。久しぶりに実家を訪ねた富生が目の当たりにしたのは、父の「老い」だった。不安に駆られた富生は父との同居を決めるが、東京には付き合って8年になる恋人がいて……。
松川律は三十一歳の刑事で、シングルマザーの竹本澄音とつきあっている。澄音の五歳の娘・海音との距離も縮まり結婚を真剣に考えたところで、澄音から自分の父親には前科があると告げられて――。ラーメン店を経営する姉一家との交流や同期刑事とのやりとりなどを小気味よく織り交ぜながら、若き刑事の二年の月日を描く。スカイツリーの見える東京・下町で繰り広げられる心温まる人生の物語。
ベストセラー『ひと』の著者によるじんわりと心に染みる家族小説東京の町なかにひっそりと佇む「日比野豆腐店」。店主の清道を亡くした日比野家は、厳しいながらも手を取り合って店を切り盛りしていた。店を終わらせようとしている祖母の初。亡くなった夫の代わりに店を続けたい母の咲子。店を継ぎたいのかどうか、将来に悩む令哉。そして、「ある人」と一緒に三人を見守る飼い猫の福。「日々の豆腐」という意味も込められた豆腐屋
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