お菓子の船
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作品情報
たった一つのどら焼きが、海を越え、時代も越える。少女の切実な願いが胸を打つ感動巨編!製菓学校を卒業した樋口和子(わこ)は、浅草にある奥山堂の門を叩く。祖父が亡くなる前に作ってくれた特別などら焼きを再現すべく、和菓子職人への第一歩を踏み出すために。だが、待っていたのは男ばかりの職人世界の逆風、なかなか工房に立たせてもらえない年功序列の社会。荒波の中でもひたむきに努力を続ける和子は、やがて一人前の職人になっていく。一方、調べていくうちに、祖父が第二次世界大戦中に出兵していたころ、ある船に乗っていたことを知る。「お菓子の船」と呼ばれていたその船にこそ、どら焼きの秘密があるかもしれない。当時の乗員に会って話を聞いていくうちに、和子は祖父の知らなかった一面を見つけていく。ふんわりと溶ける皮、口の中でほどける餡子と、ひとつまみの“秘密”。誰にでも、一生ものの忘れられない味がある。「お菓子には不思議な力があるんだよ」