色彩から読み解く「源氏物語」

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〈紫式部は色に何を託したのだろう?〉 ◉最愛の女、紫の上は赤紫と紅。 ◉ひと夏の恋の相手、夕顔はラベンダー色。 ◉よき相談相手、花散里は露草の青。 ◉出家をした藤壺、空蟬は墨のようなグレーの鈍色(にびいろ)。稀代の色彩コンダクター・紫式部が『源氏物語』に織り込んだ「色の謎」を読み解く!**********〈「紫のゆかりの物語」は色の玉手箱〉萌黄色(もえぎいろ)、桜色、茜色(あかねいろ)、菫色(すみれいろ)、桔梗色(ききょういろ)……。平安時代、貴族たちは衣装を自生の植物で染め上げ、それらをいくえにも重ねて身に纏っていた。その色のコーディネートは「重ね色目」と呼ばれ、桜重ね、紅梅重ね、柳重ね、蟬の羽重ね、紅葉重ね、雪の下重ね……四季折々の美しさに富んだ名を持つ。それらを今に伝えるのが「源氏物語」だ。**********〈『源氏物語』はビジュアル小説〉物語は、登場人物たちのきらびやかな衣装、交わされる文、華やかな年中行事など、色彩に溢れている。女房として宮廷に仕えた紫式部は、確かな観察眼と天才的な色彩感覚で、それらの色に女性たちの喜びや悲しみ、嫉妬、生きづらさを託している。本書は、紫式部が物語に織り込んだ色を、色彩学や心理学の観点から読み解き、1000年前の女性たちの実像に迫る。**********【目次】一.『源氏物語』は色彩溢れるビジュアル小説 ●紫式部は女君たちの衣装の色を意図的に描き分けている ●日本の伝統色の約七割は平安時代に作られた ●美しすぎる、光源氏の「桜重ね」 ●チャームポイントは、襟元や袖口から覗く配色 ●貴族社会における「禁色」というタブー ●鮮やか、艶やか! 驚きの『源氏物語』の色 ●季節の移ろいに心を重ねた王朝人の美意識二.衣装の色が物語る、女君たちの愛と人生 ●「紫のゆかりの物語」のはじまり ●光君に残された空蟬の薄衣はなに色だったか? ●夕顔の花から始まった、ひと夏のはかない恋 ●『源氏物語』の時代、男たちはどんな色を着ていたのか? ●年齢とともに変化する紫の上のシンボルカラー ●色のない女性たち、葵の上と六条御息所 ●おかしくて、やがて哀しい、末摘花の赤 ●緑が象徴する明石の上のセルフコントロール力 ●花散里が染める露草の青 ●源氏をふった玉鬘の山吹重ね ●可憐なピンクをまとう女三宮の秘密 ●天才的な色彩演出家、紫式部三.王朝文化を生んだ貴族たちの恋愛事情 ●平安時代は、本当に一夫多妻制だった?  ●待つ女・愛人たちの焦燥と嫉妬 ●色彩が重要な役割を果たしたファーストコンタクト ●女房たちの心をわしづかみにしたラブレターの色は? ●色、香り、歌……王朝人が好む“ほのかな美” ●宮廷を彩るマスコット、女童たちの装い ●平安貴族はどのように喜怒哀楽を表現していたか ●心の深層へとつながる絵、音楽、夢四.色で辿る登場人物たちのその後 ●女君たちのシンボルカラーが勢ぞろいした六条院のイベント ●源氏をめぐる女性たち、それぞれの後半生──明石の上、末摘花、玉鬘…… ●成長しない姫君の変貌──女三宮 ●源氏にもっとも愛された女性の幸と不幸──紫の上 ●鈍色に見る、「出家」という解放 ●光源氏、最後の一年 ●色彩から見えた、紫式部の密かな企み五 紫式部からの問いかけは、千年の時を超え ●紫式部はなぜ色彩美あふれる物語を書けたのか ●紫式部の前半生──孤独な少女からシングルマザー、作家へ ●紫式部の後半生──道長とのウィンウィンな関係 ●清少納言『枕草子』は輝いていた後宮へのオマージュ ●日向よりも陰に目がいく『紫式部日記』の憂鬱 ●「宇治十帖」で示された女性たちの新たな選択 ●色彩に託された紫式部のメッセージあとがき参考文献**********

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