上高地近くの、林道から外れた茂みの中で女の死体が見つかった。10年ほど前に銀座でホステスをしていた女性だった。その線から蕎麦屋の店主と、娘を連れて駆け落ちをしていたことが判明する。当時2歳だった娘は中学生になっていた。長野県諏訪でひっそりと3人で暮らしているはずだったが、同居していた元蕎麦屋店主の行方も知れなかった。娘はいったんは亡くなった母親の福島の実家に預けられたが、出奔してしまう。どうやら父と娘2人は行動を共にしているらしいと読んだ捜査員たちは行方を追い始める。しばらくたったある日、女性の新しい交際相手だと思われる諏訪の工場経営者が殺される。ますます元蕎麦屋店主への疑いを強くした人情刑事・道原伝吉は、長野から北海道への執念の追跡を始まる。