こんぱるいろ、彼方

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あらすじ

「ベトナム人? お母さんが?」 サラリーマンの夫と二人の子どもと暮らす真依子は、近所のスーパーの総菜売り場で働く主婦だ。職場でのいじめに腹を立てたり、思春期の息子・賢人に手を焼いたりしながらも、日々は慌ただしく過ぎていく。 大学生の娘・奈月が、夏休みに友人と海外旅行へ行くと言い出した。真依子は戸惑った。子どもたちに伝えていないことがあった。真依子は幼いころ、両親や兄姉とともにボートピープルとして日本に来た、ファン・レ・マイという名前のベトナム人だった。 真依子の母・春恵(スアン)は、ベトナム南部ニャチャンの比較的豊かな家庭に育ち、結婚をした。夫・義雄(フン)が南ベトナム側の将校だったため、戦後に体制の変わった国で生活することが難しくなったのだ。 奈月は、偶然にも一族の故郷ベトナムへ向かう。戦争の残酷さや人々の哀しみ、いまだに残る戦争の跡に触れ、その国で暮らす遠い親戚に出会う。自分のルーツである国に深く関心を持つようになった奈月の変化が、真依子たち家族に与えたものとは――?

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